MMORPGが面白くない理由とは?これからのオンラインゲームに求められるもの。

 

1年ぐらい前の話になるけれど、THING SOFT(ネクソン傘下)のチョン・サンウォン統括プロデューサーのインタビュー記事が話題になっていたので紹介したい(今更だけどね)。

 

この記事の中で、チョン氏は、「MMORPGのコンテンツは何を作ろうが3ヶ月もあれば終わる」とオンラインRPGの問題点を指摘している。

これに対して多くのコメントが寄せられており、関心の高さが窺える。それだけ的を得ている意見ということなんだろう。

 

まあ、何と言うか、その通りだな~って思う部分もあれば、よく分からない部分もある。

以前からオンラインMMORPGに対して感じていることを書きたいと思っていたので、チョン氏の意見を踏まえて、この機会にちょっと書いてみたい。

 

オンラインゲームを支えていたコミュニティの存在

チョン氏は、「2000年代初頭のMMORPGは、コンテンツではなくコミュニティがゲームを支えていた」と指摘してるんだけど、これはまさにその通りだなーと思う。

 

2000年代初頭の日本といえば、まだガラケーが主流であり、友人との連絡手段はもっぱらメールだった。

その他、2ちゃんねる(今の5ちゃんねる)などの掲示板サイトはもちろんのこと、「放課後学生タウン」などのチャットが最盛期だったのもあの頃だ。利用していた人も多いはず。

 

そんな時代に、「知らない人とチャットしながら一緒にゲーム(冒険)ができる」という画期的なサービスが登場することになる。それがオンラインMMORPGだった。

 

97年にリリースされた『ウルティマオンライン(UO)』あたりからMMORPGは広く認知されるようになり、『FFⅪ』などの国産MMORPGが後に続いていく。

そうこうしているうちに、MMORPGは市民権を獲得し、ネットユーザーはこぞってMMORPGに潜るようになっていった。大げさに言えば老若男女を問わず。

 

だから、あの当時のMMORPGは、学生、主婦、サラリーマン、フリーター、ニートなど、色んなタイプ・属性の人がワイワイと身を寄せ合って、雑多なコミュニティを形成していた。控えめに言っても、かなりカオスな環境だったと思う。

 

…たとえるならば、公立の小学校みたいなもんか。

公立の小学校は、お金持ちの子、スポーツ万能な子、頭が良い子、真面目な子、不良の子、色んなタイプの子どもがごちゃ混ぜにされている一番カオスな時期なんだけど、まさにそういう感じ。

 

個人的には、そういう新鮮さや刺激を求めて、MMORPGに潜っていたと言っても良い。

今になって思えば、あの頃のMMORPGはSNSの代わりだったんじゃないかなと思う。

 

しかし、徐々に事情は変わっていく。

 

2010年代以降、ネット上のコミュニケーションの主戦場がSNS(Twitterなど)に移り変わり、スマホが爆発的に普及すると、オンラインMMORPGにログインする動機は失われ、次第にコミュニティは衰退していった。

 

要するに、わざわざPCを起動せずとも、スマホで簡単にコミュニケーションがとれる時代が到来したというわけ。

その結果、それまでMMORPGに潜っていたネットユーザーが、Twitterやソシャゲに流れていったことは言うまでもない。

 

こうして、MMORPGはひとつの時代を終えることになる。

 

ネットコミュニケーションの場として機能しなくなったことにより、多くのネットユーザーが「MMORPG小学校」を卒業していったのだ。

もちろん、そのままMMORPG小学校にとどまり、MMORPG中学、MMORPG高校へと進学する者もいたけれども。

 

これが、MMORPGが面白くなくなった1つ目の理由である。

ゲーム性がどうであれ、皆でワイワイ楽しんでいたのが、あの頃のMMORPGであり、今のMMORPGにはそういうコミュニティは存在しない。

カオスな雰囲気を求めてMMORPGに潜っていた私からすると、そういうワチャワチャ感のないMMORPGなんて全く魅力的に映らないわけだ。

 

「コミュニティ」から「コンテンツ」へ。

その後、オンラインMMORPGはどうなったかと言うと、

World of Warcraft』に代表されるように、新たなコンテンツを定期的に追加することで、ユーザーにコンテンツ消費を促すモデルが定着していった。

 

要するに、コミュニティではなく、コンテンツによってユーザーを引き留めようとしたのだ。

「エンドコンテンツ」「追加コンテンツ」という概念が普及していったのもこの頃だった。

 

このようなコンテンツ中心のMMORPGは、熱烈な支持を受けて、業界の主流となっていく。

コミュニティを作って自主的に遊んでいた時代から、定期的に追加されるコンテンツを受動的に遊ぶ時代へと変わっていったと言ってもいいだろう。

 

しかし、チョン氏が指摘するように、コンテンツ消費に傾倒したMMORPGは早くも限界を迎える。

 

現代の高度情報社会では、あっという間に “最適解” が見つかってしまって、コンテンツは猛烈なスピードで消費され尽くしていく。

要するに、「答え」は既に分かっているので、あとはどれだけ時間・お金・労力をかけるかという問題に帰結し、コンテンツはただの作業と化してしまったのだ。

 

後は、レベル上げと装備集めだけが残って、単調なレベリングを繰り返すマゾいゲーム性以外にMMORPGを語る要素はなくなってしまう。

 

ユーザーはレベリング・装備集め以外のことを望んでいないのか?

このような事態に対して、チョン氏は、

「「レベル上げをして、カンストして、ダンジョンに通って装備やアイテム集めをする」、MMORPGで多くのプレイヤーはこれ以上の事は望んでいない」

「レベル上げがないと、プレイヤーは「問題を解きに来たのに問題そのものが存在しなかった」というような感覚になる」

と、レベリングが必須であるかのような言い方をしているが、

私が分からないのはここである。

 

例えば、『マインクラフト』のようなサンドボックス (※) の場合。

「レベル」や「装備」といったステータス概念は存在するものの、それよりも「物作り」の方がメインコンテンツとなっており、ユーザーは「物作り」を通して満足感を得ることができる構造となっている。

 

サンドボックスとは
舞台となる仮想世界を自由に動き回って探索・攻略できるように設計されたレベルデザインのことを指し、定まった攻略手順が存在しないものを「サンドボックス(砂場)」という。

 

他にもいくつか例をあげよう。

 

GTAオンライン』には、プレイヤーの「ステータス」や「ランク」といったレベリングが存在するものの、これは絶対に上げなければならないというものではなく、別にそんなものがなくても、GTAオンラインの世界を楽しむことはできる。

 

また、『Ark』や『DayZ』では、一生懸命アイテムを集めても、死んだら全てリセットされる鬼畜仕様となっている。

MMORPGの常識から考えるとあり得ない話だが、私を含め、このようなゲーム性にハマる人は少なくない。こういうゲームでは、レベリングや装備集め以外にも、ちゃんとユーザーを楽しませる要素が存在している。

 

こういう他のオンラインゲームを概観していると、どうしてもレベリングが必須だとは思えない。

むしろ、開発者が「MMORPGにレベリングは必須だ」と一方的に決めつけて、レベリング以外の楽しみ方を提供出来なかったことが全ての原因じゃないかと思えてくる。

 

これからのオンラインゲームに求められるもの。

ここから先は、個人の戯言と思って聞いて欲しい。

 

私は、MMORPGに限らず、これからのオンラインゲームに求められるものは、「シミュレーション的な要素」だと思っている。

 

例えば、『The Elder Scrolls V: Skyrim』が何故あれだけ人気を博したかというと、主人公の育成要素だけでなく、中世ファンタジー世界を舞台とした冒険シミュレーション要素があったからに他ならない。

 

『GTAオンライン』や『レッドデッドオンライン』も同様である。

 

『GTAオンライン』において、プレイヤーは、架空の現代都市を舞台としたギャングシミュレーションを楽しむことができ、『レッドデッドオンライン』では、19世紀末のアメリカを舞台に、カウボーイシミュレーションを満喫することができる。

こういったシミュレーション要素があるからこそ、多少クエストが単調だったとしても、プレイヤーは飽きることなく世界に没頭できるのだ。

 

MMORPGにとって重要なことは、「レベル」や「装備」といったステータス的な強さではなく、

MMORPGの世界をシミュレート(体験)することだと思う根拠はここにある。

 

実際、チョン氏は、「レベルは最も直感的にキャラクターの成長を見せられるが、ゲームに制限をもたらす」と認めている。

6年前の記事になるが、MMORPGにレベルのような概念は不要であるとの主張もあったことから、おそらくMMORPG業界全体がずーっと直面している真理なんだろう。

 

にもかかわらず、いつまでもMMORPGがレベリングの呪縛から抜け出すことができないのは、「MMORPGはかくあるべき」というステレオタイプの思想が未だに根強くこびりついているからじゃないかな。

 

そんなことを考えつつ、MMORPGの更なる発展を願って、本日の記事はここまで。

 

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